一般的にイボ痔といわれている痔核は、肛門疾患のおよそ半数を占めています。
痔核は、直腸や肛門周囲でクッションの役割をしている静脈が密集している静脈叢が膨れ上がり、しこり状になったものです。
肛門と直腸の境目-歯状線-より直腸側にある内痔静脈叢が腫れたものを内痔核、肛門側にある外痔静脈叢が腫れたものを外痔核と呼びます。
歯状線より直腸側は自律神経支配のため痛みを感じにくく、歯状線より肛門側は知覚神経支配のため痛みを感じやすくなっています。
排便時に強く力み、肛門周囲の静脈叢がうっ血したり、硬い便が粘膜を傷つけてしまう
血行が滞り静脈叢がうっ血する
腹部に圧力がかかる運動は肛門に負担がかかる
炎症を引き起こしたり、下痢の原因となる
トウガラシは消化されず、その刺激成分が肛門を刺激し炎症を引き起こす
胎児により腹部が中から圧迫され、血行が滞る
出産時のいきみにより脱出する
出産後の体力低下・授乳による水分不足で便秘になりやすい
上記の症状がすべて当てはまらなくても痔核の場合があります。
特に内痔核の初期は、出血だけで痛みが伴わない場合が多くあります。
ひどくなると手術が必要となります。
主な症状
主な症状
主な症状
脱出時
主な症状
主な症状
痔核の治療方法はいくつかありますが、ここでは当院で行っている治療法を紹介したいと思います。
当院では保存療法、外科的療法として結紮術、硬化療法(ジオン注射を含む)を行っています。
症状の軽い痔核や血栓性外痔核なら、まずは保存療法で治療を行います。
痔核を外に引っ張り出します。
たるんだ皮膚を含めて痔核の真ん中に針糸を通し、左右に分けて患部をクルリと囲みます。
通した糸をきつくしめます。
痔核へ血がいかなくなり、徐々に壊死していきます。
壊死した痔核が1週間前後で取れます。
痔核が取れた後の創面を軟膏や座薬で保護し、傷がふさがれば完治となります。
痔の硬化療法は痔核に刺激性の薬品を注射して、直腸の粘膜に固定・退縮させることで痔核の脱出・出血症状を改善する治療法です。痔核にのみ適応されます。
比較的歴史の古い治療法で、最近では、田辺三菱製薬が発売した今までより効果の強い『ジオン注射』が有名です。
治療にあたっては特殊な投与技術(四段階注射法)が必要なため、決められた手技の講習会を受講した専門医でなければ治療を行えません。当院では畑嘉高医師・増田芳夫医師が行います。