肛門は直腸の粘膜と肛門粘膜、それを支持する筋肉や脂肪、皮膚にて形成されています。意外と複雑、そして繊細にできているのです。
肛門は歯状線をはさんで直腸粘膜と肛門皮膚にわかれます。直腸粘膜は痛みを感じにくく、肛門皮膚は痛みに敏感です。痔のできる場所や裂肛と痔核によって痛み方が違うのはこのためです。
肛門と直腸の境-歯状線-には肛門陰窩という1mm程度のくぼみが6~11個あります。このくぼみに細菌が入り込み、くぼみの先にある肛門腺が感染することがあります
この感染が元で膿(うみ)が肛門・直腸周囲に広がり肛門周囲膿瘍となります
みなさんは「痔」についてどのようなイメージを持ちですか?
実は、「痔」は老若男女すべての人に起こりえる病気なのです。
痔の発生は生活習慣と深く結び付いているため、10代20代の若い方も男女関係なく発症する可能性があります。また、乳幼児でも発症する場合があります。
「痔」の主な原因は、やはり下痢や便秘など肛門に負担がかかることです。
痔の原因となる生活習慣は以下の通りになります。
多く当てはまれば当てはまるほど、痔になりやすいということになります。
痔になる確率は男女ともにあまり変わりありません(男:女=55:45)
ただし、どのような痔になるかは少し違います。
男女とも、1位はイボ痔(痔核)でほぼ半数の人が受診されます。
2位には性差がみられます。
男性の2位はあな痔(痔瘻)、女性の2位は切れ痔(裂肛)となっています。
これは女性より男性の方が下痢になりやすいこと、そして女性の方が便秘になりやすいことなどが原因のようです。
また、女性は妊娠出産の際に痔核・裂肛になりやすいのも原因の一つとみられています(→詳しくは女性外来のページ)
「お尻を他人に見せるなんてイヤだ!」「手術をして失敗してお尻がゆるくなったらどうしよう」「痔だって人に知られたくない」
そんな声を耳にすることがあります。
そのため、一般市販薬を使ったり放置したりする人もいらっしゃいます。
しかし、患部は見えない場所。
なかなか正しい治療ができません。そのため、症状がひどくなってから駆け込んで来られる患者さんもいらっしゃいます。また、痔だと思っていたら別の病気だったこともあります。
痔の治療法は、その症状によって薬で症状をコントロールする保存療法と、手術をしてしまう外科的療法があります。ひどくなったからすぐ手術というわけでもないので、気になる方は一度診察を受けられることをお勧めします。
ただし、痔瘻(あな痔)は、基本的に保存療法ではなく外科的療法が必要となります。
痔核の場合、大体2割程度の方が手術対象となる症状をお持ちですが、ただちに手術というほどでもない方は薬で様子を見ることも可能です。自分のお尻を知り、上手に付き合いましょう。
一度できてしまった痔は、消えてしまうことはありません。それ以上ひどくならないように生活習慣を改善し、なるべくストレスなく過ごすことが必要となってきます。
日常生活を改善することは、痔のためにも良いですが、何より他の生活習慣病の予防にもなります。
痔についての痔の原因を読み、少しづつご自分の生活を見直していってみてください。
痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)・痔瘻(あな痔)の治療法については、それぞれ該当のページをご覧ください。
あなたの痔にはどんな治療法があるのか、どのくらいかかるのかについてまとめています。
痔は、大きく分けて3つのタイプがあります。
いちばん有名なのがイボ痔ですね。
これは読んで字のごとく、肛門の組織が大きくなってしまいます。痔を患う方の約60%がこのイボ痔で、男女ともになりやすいものです。
肛門が切れてしまうことによって起こります。男性より女性の方が罹患率は高いです。
上記2つの痔に比べて、あまり知られていなのではないでしょうか?肛門陰窩というくぼみから感染し、膿の通り道ができてしまう病気です。
これだけは手術が必ず必要になり、長年放置しておくと癌化する危険もあります。
女性より男性の方が罹患率が高くなっています。
痔のタイプと症状を簡単に示します。
それぞれの詳しい病態については別ページに記載してあります。
あくまで一般的な症状ですので、参考にしてください。
二つ以上の症状を併発したタイプもありますので、不安な方は一度診察を受けてみてください。
肛門には痔以外の病気もあります。
ここでは簡単にですが、いくつか紹介させていただきたいと思います。
痔のタイプと症状を簡単に示します。
それぞれの詳しい病態については別ページに記載してあります。
あくまで一般的な症状ですので、参考にしてください。
症状 |
かゆみ(体が温まるとひどくなる) 肛門周囲の皮膚炎(肌荒れ・ただれ) 痛痒い |
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疾患 |
肛門掻痒症・肛門周囲炎 |
症状 |
肛門周囲にぶつぶつがある |
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疾患 |
尖圭コンジローマ |
症状 |
膿で汚れる 熱が出る ずっと痛い |
▼▼▼ |
疾患 |
痔瘻 |
症状 |
粘液で汚れる 肛門から粘膜が脱出している 高齢である 痛くない |
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疾患 |
直腸脱 |
症状 |
便で汚れる 便意が我慢できない |
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疾患 |
便失禁 |