裂肛とは、その名の通り肛門の出口付近が切れる、肛門の外傷による病気です。
便秘が原因ということで男性より女性がなりやすいです。
また裂肛は生後3ヶ月~1歳の乳児にも起こりえます。
裂肛は肛門と直腸の境目―歯状線―の外側(肛門側)にできるため、痛みを伴うことが多くあります。
主に肛門の背中側が切れることが多く、何回も繰り返すと裂肛の部分は潰瘍化し、肛門内部にはポリープ、肛門出口には見張りいぼと呼ばれる皮膚のたるみができます。
いちど裂肛になると、排便時の痛み→便を我慢する→便が硬くなる→排便時に切れる、を繰り返し、慢性化するケースが多くあります。
硬い便で切れる
下痢で肛門の粘膜が腫れ、組織がもろくなる
出産時のいきみで裂ける
裂肛を繰り返すと、切れた部分が治ろうとする際に周りの粘膜を引き寄せます。
その分だけ肛門が狭くなり、排便が困難になったりします。
これを、肛門狭窄といいます。
裂肛で肛門狭窄が引き起こされることは多いですが、原因はそれだけとは限りません。
便が細くなった場合、なるべく早めに専門の医師にかかることをお勧めします。
裂肛の治療はほとんどが保存療法です。
ただし裂肛を繰り返し固くなった組織で肛門が狭くなったり切れやすくなる慢性裂肛は手術適応になります。
当院では保存療法、外科的療法として結紮術を行っています。
結紮方法の一つ、振り分け結紮術は、当院3代目院長 畑嘉也が考案した方法です。結紮により自然に患部を脱落させる、肛門に優しい手術方法です。(日本大腸肛門病会誌 50:1120-1125、1997)
症状の軽い裂肛なら、まずは保存療法で治療を行います。
裂肛の固くなった組織の後ろに針糸を通します。
肥大した乳頭(ポリープ)とたるんだ皮膚を含めて、左右に糸を分けクルリと患部を囲みます。
通した糸をきつくしめます。
患部へ血がいかなくなり、徐々に壊死していきます。
壊死した痔核が1週間前後で取れます。
患部が取れた後の創面を軟膏や座薬で保護し、傷がふさがれば完治となります。